―さっき見たとき、赤や緑のガラス玉や色んな石が埋まってましたけど、コンクリートに一度埋めてから、研ぎ出して表面に見せていくんですよね。
仲館さんそう、撒くタイミングも大事で、コンクリートを流し込んですぐに撒いたら全部沈んで研いでも出てこなくなっちゃう。ある程度固まって、石を投げても石の重みで少し沈むくらいのときに撒かないと。
―タイミングを見極められるのも、左官屋さんだからこそなんですね。ガラス玉見つけると楽しいです、宝探しみたいで。
仲館さん撒くときも、設計さんもみんなで一緒に楽しんで撒いてね。でも、撒き方も十人十色だから「そこ撒きすぎ!」とか指示しないと、ばらつきが出ちゃったり(笑)。
―どうやってピカピカに研いでいくんですか?
仲館さん最初は荒研ぎと言ってメタルの刃で研いでいく。その後、レジンの刃に変えて、50番から400番くらいまで、刃の種類を変えながら、骨材(セメント・水と一緒に混ぜ合わせられる砂利や砂などの総称)を見せていってあげる。すると、だんだん光沢が出てくるので。
柳田社長レンズなんかと一緒。研ぐこと自体は変わらないけど、それをコンクリートで、しかも最後の仕上げにしちゃう、というのが珍しい。
仲館さん今回は、かなりツルツルになるまでやって、それがすごい気持ち良かった。研げば研ぐほど、どんどん綺麗になっていく。骨材がどうやって出てくるのかも楽しみでね。
―ただのコンクリートが、綺麗な床に変わっていくのを見るのは楽しそうです!ちなみに、難しかったところはありましたか?
仲館さんチリ(角、端、隅の意味。床と壁の接するところや、別の床仕上げと接するところ)周りは、気を遣ってやったかな。タイル床との接続部分を大きな機械でやっちゃうと、タイルを傷つけちゃうから。小さい刃のタイプの機械で、全部しゃがみこんで仕上げていった。
―広い場所はもちろん、入り組んでいるところもできちゃうんですね。
柳田社長難しいところも、技を駆使してやっていく。昔は、砥石を形に合うように切って研いだり、自分で工夫して自分の技でできるようにする原点があるんだよね。研ぎ始めると、もうゾーンに入るほど、夢中でやってたよね。
―ゾーンですか!スポーツみたいですね。
柳田社長みんな、休憩にも戻ってこないで、不思議なパワーでやり遂げちゃう。自分がどこまでできるか、もう趣味の世界だね。